9/22(日曜日)に、大地の再生の目線による古民家周辺の環境改善を行いました。
築130年の古民家を購入して4ヶ月、昭和に増設した母屋とコンクリートを貼った土間など観察から始まり、夏と雨季を経て見えてきた家の課題。
母屋が建つ土地は20メートルほど高い傾斜角度が急な裏山を抱えた場所にあります。左の画像中の赤い丸の地点が我が家になります。
そのため、必然的に水気は家に降りてくるという形になります。実際に日陰の多い山側の梅の木も大分傷んでいる様子が見受けられます。
梅も長年湿気が籠っていたことで、木の肌には苔、葉も元気がなく、新芽もあまり出ないという健康に呼吸できてない様子です。
梅の周りを歩いてみてもぬかるんでいるのがよくわかります。風の草刈りを定期的にしていたことで下草が柔らかくなってきましたが、ツユクサ、シダのような水気が好きな植物が多く繁茂しておりまだまだ通気通水の機能が弱いと感じられます。
古民家を購入した利点として、井戸があるということが挙げられるかなと思います。必須条件ではないものの、地域柄で一件に一個はあるというような状態でしたので、我々の土地には2個の石で組まれた井戸がありました。
「水が集まりやすい」という点で井戸の設置されている場所に感動を覚えます。
大地の再生では「斜面変換点」と呼ばれる、断面図で見たときに傾斜度が変わる場所が特に水が溜まりやすくさらに詰まりやすいためここの動きを良くするように活動しています。
斜面変換点を改善することでそこの点から始まる前後の脈が機能し始めます。通気通水、保水保気、濾過、耐圧の4つのエネルギーが自然をより良くするベクトルへ歩みを始めます。
そのため井戸を使用することで、水嵩を戻すために周りの水が動き始める。そうすることでまた停滞していた水が動きだし、浄化の機能が現れ、土中の水を健康にしていきます。また空気と水は表裏一体で、水が流れたということは押し出されて空気が入ってくるということにも繋がります。
このように少しの変化、少しの動きを促すことで全体を動かしていく、脈の機能を取り戻していくということが井戸を使うだけでできるということがわかります。
購入後の状態
前の住居者から5年間放置された家、庭は荒れ放題で小屋なども蔓に覆われており、家の周りは雑に伐採された木たち、雑木と同じ背丈で伸びてくる笹薮の庭。
昔は燃えないゴミは家に埋める習慣があったようで。タイヤや割れた陶器やガラス、瓦、レンガなどが掘れば掘るほどどんどん出てくる。
こういった上に土が乗っているとやはり上下の水の繋がりが上手くいかず、環境が悪化するため生えてくる雑草も単一的でヤブガラシやカラスウリ、ヘクソカズラなどの蔓植物が繁茂するようになります。一夏を放置すればヤブの完成で、手入れをしないと毎年その状況が続いてしまいます。
そのように変化した自然は湿気を溜めているかのように、周りは藪で囲われ陰りが多く一般的に水気が多い北側は案の定水の行き場がなく、土間の方に流れ込んできており雨の後は家の中の湿気がすごくカビ臭さもあり、木はところどころ傷んでました。もちろんそうなるとシロアリも発生するので、住環境が悪くなっていきます。
また浄化槽を入れたタイミングで南側(母屋から見たら水の入口)にコンクリートを流していました。それにより一段階土間が外側より低くなったため、より湿気が集まりやすく逃げることができないという状態になっていました。見た目でわかるぐらいに土間のほうが低いという状況です。
購入後の手入れ
住まうということ前提に母屋の湿気を逃がすため、いろんなものを庭から撤去したあとに風の草刈りで家の周りに風が入るように促しました。ぶつ切りに選定されていたサルスベリ、伸び放題のツツジとユキヤナギ、木やトタンで地上が塞がれていたマサキや柿など、地上の刈り払いをすることでこもった空気感はすぐに消えて東西南北に風が抜けるようになりました。
そして庭の湿気が抜けることで家のかび臭さも少しずつ抜けていきました。家の解体も同時に進めていく中で床下を開けて一度湿気のある土をすべて空気を入れるために耕し、燻炭をまいたところ匂いが一気に変化したのが印象的ででした。
燻炭を採用している点は、床下となると風が強く吹き抜けるということもなく飛び散る心配がない点と、防湿資材が結果的に重みのせいで土の湿気が抜けないという状態になっていたので、できるだけ重みがない素材にしたいなと考えたためです。まぁ炭素ならなんでも良いと思います。用意できるもので。
一回目の手入れ
こうして徐々に変化していく中で1回目の大きな手入れを今回は行いました。バックホーのブレイカーでコンクリートをハツリながら、母屋周りの通気浸透を促すための水脈の作成です。
2回目の講座では1回目で作成した水脈を利用して雨落を作っていく予定です。空気と水の循環を意識した雨落を作成することで母屋への湿気を外に流すように促していきます。
作業していく中で出てくる瓦やガラ、枝など再利用ができるものはできるだけその場におさめていくように調整していきます。
「自然は必要な分、必要なところへ無駄のないエネルギーで届ける」
大量の埋め立て必須のゴミをいかにしてその場で活用していくのかがすごい重要だと感じています。そういう古民家再生ができれば、その土地らしい住環境ができるのでないかと思います!
秋分の日に施工してこのあと冬に向かい、地が落ち着いてきたらまた結果がわかってくると思います。
また次回が楽しみです。